研究課題/領域番号 |
11877035
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70108710)
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研究分担者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50217668)
橋本 修一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00243931)
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キーワード | マイクロディセクション / 肺腺がん / 肺異型腺腫様過形成 / PCR-SSCP |
研究概要 |
癌病変の遺伝子異常には、ゲノムレベルでの異常ほかにmRNAの発現異常や代謝異常も含まれ、癌の診断にあたって、正常な遺伝子も含めての「発現異常」も併せて論じられるべきであるが、その方面からの診断およびその基準となる遺伝子データの情報は全くない。そのため我々は、治療に結びつく個々の癌の具体的な性格化や病理診断に迫れなかった。こうした背景を踏まえ、レーザーマイクロディセクションによる標的病変部に限定したの遺伝子学的解析を行うと共に解析データの集積とそのカタログ化により新たな病理診断への情報提供を最終目標に本実験を計画した。まず、九州大学腺癌切除肺を4ミリ厚で全割し、1スライスごとにパラフィンブロックを作製し、細胞の異型度に合わせて分類した。腺癌はグロスで、肺異型腺腫様過形成(AAH)はマイクロディセクションにより細胞を採取した。まず、遺伝子型の確認のため、比較的癌において変異の見られるp53、k-rasについてsemi-nestedPCR-SSCPを用い遺伝子解析を行った。p53遺伝子変異は原発巣の約30%に認めた。AAHは軽度異型の4症例にバンドシフトを認めたが、そのうち再現性まで確認が取れたのはまだ1症例である。変異の分布は何れもexon5であった。今後は症例数を増やし、変異のタイプや病理組織学的に多様な症例を収集し、現状ではp53、k-ras等特定の遺伝子型情報との比較をしながら、これに病理形態も加え、実際にmRNAの発現状況について解析を試みその変化を明らかにしていく予定である。
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