研究課題/領域番号 |
11877040
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井藤 久雄 鳥取大学, 医学部, 教授 (60127610)
|
研究分担者 |
八幡 浩 広島大学, 医学部, 助教授 (10191181)
佐藤 建三 鳥取大学, 医学部, 教授 (40113196)
|
キーワード | ラット肝移植 / 拒絶反応 / IL-10遺伝子導入 / アデノウイルス / 免疫抑制 |
研究概要 |
1.CMVプロモーターで制御されるヒトIL-2遺伝子組み換えアデノウイルス・ベクターAdCMVhIL10の作製した。なお、大腸菌のβ-galactosidase遺伝子組み換えアデノウイルス・ベクター(AdCMVlacZ)を正常ラットの尾静脈から1.5×10^9pfuの力価で注入したところ、大部分の肝細胞に当該遺伝子の発現を確認した。 2.4週齢雄DAラット肝を摘出し、同Lewisラットに同所性に移植した。移植24時間前に回盲腸静脈から1×10^<10>pfuのAdCMVhIL-10を注入し、移植後3日目に下大静脈および上大静脈から血清を採取し、ヒトIL-10濃度を測定した。注入群(n=3)では非注入群(n=4)に比較して約15倍であり(137.5±8.0pg/ml)、しかも、上大静脈において有意に高濃度であった。 3.ラット肝移植は次の3群に分類して、生存日数および病理組織学的検討を行った。1群:非移植群(n=5)と2群:AdCMVlacZ投与群(n=5)では、最長生存日数14日、平均生存日数は何れも11日であった。死亡時の病理組織学的検討では、移植肝は何れも広範な出血性壊死に陥っていた。比較的大きな肝動脈では、急性移植動脈炎を示しており、血栓形成を伴っていた。3群の移植AdCMVhIL-10投与群(n=5)の生存日数は最短56日であり、2匹では100日を越えた。死亡時ないし犠牲死させたラットの移植肝では、グリソン鞘が線維化を示していたが、リンパ球浸潤は乏しく、また、小葉間胆管が増生していた。以上より肝移植24時間前のAdCMVIL-10注入は、その後の免疫抑制を行わなくても、拒絶反応を制御することが明らかとなった。 4.移植後の各種肝機能検査を経時的に行った。3群では移植後3日目には総ビリルビン値が0.2±0.0と正常値まで低下した。1群、2群では逸脱酵素およびビリルビン値とも低下することなく、死亡時まで上昇した。
|