研究概要 |
感染防御や炎症の際にプライミングされた好中球からスーパーオキサイトを始めとする活性酸素種(ROS)が産生されると同時に,nitric oxide synthase(NOS)が誘導されnitric oxide(NO)も産生されるという報告がみられる。つまり,ROS同様にNOSも重要な作用を有していると考えられる。そこで本研究は,好中球が関与する血管内及び組織中の生体反応に対する影響を,ROSの動態から検討すると同時に,その関与が示唆されているNOSの動態をも把握,検討することで,NOSの測定の必要性を明らかにすることを目的としている。 本年度は,測定データをまとめるまでには至ってないが,NOSの基質であるL-arginineの濃度を0,0.001,0.01,0.1,1,10mMと変化させることによるルミノール依存性化学発光の発光量の変化と,NOSの非特異的阻害剤であるNG-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME)による阻害効果によりNOSの関与を測定している。更に種々のROS代謝修飾物質(sodium azide,superoxide dismutase,horseradish peroxidase,salicylhydroxamic acidなど)をこれに組み合わせて測定することで,細胞内伝達経路の特定を目指している。NOSの各アイソフォームに特異的とされる阻害剤の効果を比較検討することで,好中球の主要なアイソフォームが特定できるものと考えている。これらの好中球はROSとNOSの両方にプライミング効果があるとされるlipoplysaccharideとincubateすることで,プライミング状態での影響を特定することにしている。
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