研究課題/領域番号 |
11877070
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 章夫 山梨医科大学, 医学部, 教授 (40020747)
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研究分担者 |
王 培玉 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10283201)
金子 誉 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10233876)
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キーワード | 糖尿病 / 高脂肪食 / 低糖質食 / 耐糖能 / 低糖質食感受性ラット |
研究概要 |
1.「低糖質食」によるインスリン感受性の変化 「低糖質食」あるいは「標準食」を3日間与えたWistar系雄性ラットの尾静脈からporcineインスリン(75mU/100g体重)を注入して経時的に採血、血糖値を測定した。「標準食」群に比べて「低糖質食」群の血糖値-時間曲線下面積は有意に減少し、「低糖質食」によってインスリン感受性が低下することが確認された。平成11-12年度の実験結果から、「低糖質食」による耐糖能の悪化は膵ラ氏島のインスリン分泌能の低下と体組織のインスリン感受性の低下によって起こることが判明した。 2.「低糖質食」に対する高感受性ラットとしてJcl : Wistar(以下Jcl)、低感受性ラットとしてIar : Wistar-Imamichi(以下Imamichi)を選択した。各20尾のラットを2群に分け、一方(2群)に「標準食」、他方(2群)に「低糖質食」を計16ヶ月与えた。2ヶ月ごとに腹腔内糖負荷試験(2g/kg)を施行した。当初、空腹時血糖値はいずれの試験食の投与によっても大きな変化は見られなかったが、10ヶ月頃から「低糖質食」で飼育したラットの空腹時血糖値が時間の経過とともにほぼ直線的に上昇し始めた。Imamichiの負荷120分値は「低糖質食」によって著しく高値を示すようになり、6ヶ月後には300mg/dLとなり、その後もこの傾向が持続した。試験食投与16ヶ月後にはImamichi「低糖質食」群では10尾中4尾の120分値が300mg/dLを超えた(平均値は305mg/dL)。また、Jcl「低糖質食」群でも10尾中3尾の120分値が300mg/dLを超えた(平均値は273mg/dL)。しかし、「標準食」で飼育したラットではいずれの系統でも120分値が300mg/dLを超えたものは1尾もいなかった。血清インスリン濃度の測定値は変動が大きかった。血清インスリン濃度には系統差が認められ、空腹時、負荷30分ともにImamichi>Jclであった。ImamichiでもJclでも血糖刺激によるインスリン分泌反応は「標準食」において良好であった。以上、「低糖質食」の長期間投与によって耐糖能が悪化し、12ヶ月後には糖尿病が高頻度に発生することが確認された。しかし、予想に反して、高感受性ラットとして選択したJclよりも低感受性ラットとして採用したImamichiの耐糖能が「低糖質食」によってより早期にかつより高度に悪化する傾向が見られた。今後、その原因の解明が必要である。
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