(背景・目的)アメリカのFeingold B.が、「子どもの過激行動は、サリチル酸、着色料、着香料などの食品添加物が原因である」と指摘したが、未だその明確な結論は得られていない。そこで、今年度は食品添加物摂取量調査と問題行動に関するアンケート調査およびラット脳神経細胞を用いた食品添加物の毒性評価方法の検討を行った。小児期における食品添加物と問題行動の関係については次年度検討する。 (方法)小児期における添加物の摂取量の評価方法として、3種類の定量方式があるが、今回は加工食品を中心にした食品摂取頻度調査を実施した。問題行動の定義・同定および調査対象の選択については課題が多く検討中である。食品添加物の毒性評価は、脳神経細胞(ラットのneuroblastoma B103細胞)を用い、細胞増殖曲線およびトリパンブルー染色による生細胞割合を求め行った。 (結果および考察)加工食品摂取頻度調査から既存の資料(食品群別添加物1日摂取量)を基に食品添加物の摂取量を換算することはできるが、その妥当性については問題が残った。加工食品の種類と添加物含有量にばらつきがあること、頻度から量に換算することに無理があることなどさらに検討を要することがわかった。問題行動については対象の選定と協力を得ることが非常に難しく、調査の目的を理解して戴いた上での食品摂取頻度調査がどこまで可能か模索している。プライバシーの問題もあるので、精神科医やケースワーカーなど問題行動の児童を扱っている現場スタッフの協力を打診している。食品添加物の毒性評価は、ラット脳神経細胞-B103細胞を用いて検討したが、食品添加物の細胞毒性について量-反応関係が認められた。細胞増殖率および生細胞割合が毒性評価指標として適当であることがわかった。また、無血清培地でも増殖可能で毒性評価に最適な細胞といえる。今後、マルチプレート法にによるLDH測定およびMTT測定についても幅広く検討していきたい。
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