研究課題/領域番号 |
11877077
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 淑子 京都大学, 医学研究科, 助手 (70025617)
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研究分担者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
山本 啓一 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40025614)
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キーワード | methamphetamine / rat / brain reward function / ICSS^* / abuse / dependence / reverse tolerance / ^*Intracranial self-stimulation |
研究概要 |
動物に覚せい剤(MAMP)を投与して、ヒトに認められるような精神症状を作るのは非常に難しいが、動物に覚せい剤を反復投与した際に観察される行動促進効果の増強、すなわち逆耐性現象は、ヒトに見られる精神毒性と共通点が多い。この逆耐性現象を精神毒性のモデルと考え、これが依存、乱用の成立に関わるという前提でラットを逆耐性状態にし、脳報酬系の変化を脳内自己刺激実験システムで調べた。ラットの脳に刺激電極を植え込み、回路のレバーを開閉して脳に刺激を与えるようラットを学習させ(刺激によって得られる快感などが報酬として作用するので、学習は容易に行われる)、学習成立後、1回目のMAMP投与(2mg/kg)を行った。その後1日1回投与を3日間続け、6日間休薬した(シリーズ1、S1)。次いで、同条件でS2を行い、シリーズを通じて自己刺激反応を調べた。また、ケージの上に自発運動測定システム(スーパーメックス)のセンサーを取り付け、行動も記録した。MAMP投与で移所運動が促進され、常同行動も誘発された。各シリーズとも投与回数に応じて運動促進効果は強くなり逆耐性が形成された。自己刺激反応率はS1の1日目にやや上昇したが、有意ではなかった。S1後の休薬1日目には投与4日目と比べて反応率は有意に高くなったが、次第に低下した。S2期間中には有意な変化は見られなかったが、S2後の休薬1日目の値はS2の4日目の値及び対照値と比べ有意に増加した。薬を断たれるとラットは以前と同じ快感を得ようとして、より多くの刺激を要求したと考えられる。以上のことから、脳の自己刺激系がMAMPの依存形成に強く関与している可能性が示された。
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