研究概要 |
1.モデル系として、培養末梢血単球に種々のサイトカインを加えて分化し、その前後におけるmRNA発現を、cDNAアレイを用いて検出した。従来放射性同位元素標識のプローブが用いられていたが、今回の研究により蛍光標識プローブを用いる検出系を確立し得た。 2.慢性関節リウマチ(RA)13例、変形性関節症(OA)6例の膝関節滑膜よりRNAを調整した。これらを用いたdifferential display法により、RA滑膜において多くの遺伝子断片の優先的な発現が見出された。それらの断片の塩基配列を決定したところ、それらのうちにはfollistatin-related protein,meningioma expressed antigen,inhibitor of differentiationなどの遺伝子が含まれることが明らかになった。これらを標的遺伝子として、mRNAを定量するため、競合的合成内部標準DNAを用いた定量的RT-PCR系を確立した。定量の結果、これらの遺伝子の多くにおいて、実際に大部分のRA患者滑膜において、OA患者と比較してmRNA量が増加していることが確認された。 3.現在、滑膜より精製したpoly A+ RNAを用い、上述の蛍光標識プローブを用いたcDNAアレイによる解析を施行中である。今後、上述の定量的RT-PCRの結果との対応を確認した上で、全ての滑膜検体についてcDNAアレイを用いた解析を進める予定である。
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