BCGペプチドを認識するヒトT細胞クローンとして樹立したクローンのうち3つは、HLADRB1405拘束性にコネキシンという自己抗原由来のペプチドも認識するαβT細胞であった。このクローンを自己免疫疾患を抑制するペプチドの探索のモデルとして用いるために、3つのT細胞クローンから、それぞれTCRA、BcDNA遺伝子を単離した。それぞれのクローンは全く異なったTCRB遺伝子、TCRA遺伝子を使用し、V遺伝子ファミリーも異なっていた。これらの遺伝子を用いて、リンカーペプチドを介して直列につながる遺伝子を構築した。この遺伝子の末端には、c-mycのタグを付加した。この遺伝子をもつベクターをバキュロウイルスに組み込んで、Sf9細胞で発現させて培養上清に組換えTCR蛋白を得て、発現蛋白を、抗c-myc抗体カラムで精製したところ、SDS-PAGEで一本のバンドに泳動される蛋白を得た。 さらに、T細胞クローンが認識するHLADR分子をもつB細胞株から、HLADRA(α)鎖、HLADRB(β)鎖cDNAを単離して、リンカーペプチドを介して直列につながる遺伝子を構築した。この遺伝子の末端には、ヒスチジンのタグを付加して、同様にバキュロウイルスに組み込んで、昆虫細胞で発現させて培養上清に組換えTCR蛋白を得た。産生された蛋白を、ニッケルカラムで精製したところ、やはりSDS-PAGEで一本のバンドに泳動される蛋白を得た。精製したHLA分子と合成抗原ペプチドを混合し、リコンビナントMHC/抗原ペプチド複合物を得ることができる。 これらのリコンビナント蛋白の結合性をBIACOREシステムで解析したところ単一TCRリガンドと異なるTCRでは、異なった結合キネティクスがあることが明らかにあんったが、3種のクローンの生物学的反応の差異を必ずしも反映するものではなかった。他の因子が絡んでいるものと考えられる。
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