研究概要 |
1、自己免疫性膵炎の臨床像の詳細を明らかにする: 22例の自己免疫性膵炎患者の臨床像を検討した結果、(1)高齢男性に多い(平均年齢62.6才、男女比18/4)、(2)閉塞性黄疸を74%に認めるが、その他には腹痛などの特異的な症状はない、(3)一例に橋本病の合併をみたが、他の自己免疫疾患の合併は少ない、(4)血清IgGの上昇が高率に認められる、(5)内分泌機能障害は50%に、外分泌機能障害は89%に認める、(6)各種自己抗体の陽性率は10%程度と低率であるが、carbonic anhydrase IIに対する抗体を56%(5/9)に認める、(7)CD8陽性Tリンパ球の浸潤が病理組織で認められる、(8)一例に経過中、硬化性胆管炎の合併を認めた、(9)ステロイド治療により、膵管像を含めた膵画像と、膵機能の著明な改善を認めた、などが明かとなった。 2、自己免疫性膵炎の発症の原因となる自己抗原の検索: 正常膵cDNA libraryを用いたexpression vecter法にて、患者血清中自己抗体の対応抗原の検索をおこなった。12個の陽性クローンを同定した結果、核内抗原、膵酵素であり、これらに対する自己抗体は組織破壊の結果産生されたものであると考えられた。 3,今年度は組織障害に直接関連していると考えられる自己抗体の検索を行う。
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