研究概要 |
平成10年より平成11年の1年間に当院にて生体肝移植を施行した劇症肝炎症例中、発症時の血清中に既知のウイルスマーカー(IgM-HA,HBs抗原,HBc抗体,HBv DNA,HCV抗体,HCV RNA)が陰性であり、かつ既往歴から薬剤性、アルコール性肝障害が否定された2例(成人1例、小児1例)について以下の検討を行った。 肝炎発現時と移植術後の肝機能障害軽快時の2つの時期の血清より、核酸(DNA,RNA)を抽出した。また、手術時に採取された肝組織からも同様に核酸の抽出を行った。 次に、肝炎期と術後軽快期それぞれの血清より抽出されたRNAをtemplateとして3'-オリゴ(dT)アンカープライマーを用いて逆転写反応を行い、合成されたcDNAを回収した。 任意の塩基配列をもつプライマーセットを使用し、これら2種類の時期のcDNAをtemplateとしてランダムなPCRを施行した。 上記PCR産物を熱変性処理後、変性処理ポリアクリルアミドゲル電気泳動装置を用いて、術前、術後cDNA由来のPCRサンプルそれぞれを電気泳動し、コンピューター処理による増幅バンドのサブトラクションを施行(differential display)、肝炎期に特異的に発現量の高いバンドを約20本(小児例)特定した。 上記サブトラクション解析で得られたバンドを回収ののち、再度PCRを行い、候補となる核酸の単離精製を現在進めているところである。
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