今回我々は、血管障害を引き起こすMRHFR遺伝子異常が成人病に、また寿命にどの程度関わっているか明らかにしたいと考えている。これまでの研究で、このMTHFR遺伝子異常による軽度のホモシスチン血症は、ビタミンB_6、B_<12>、葉酸の摂取により正常となり心血管疾患の危険率を改善させることがわかっており、我々の先行研究によれば、5人に1人が有するこのMTHFR遺伝子異常を早期に発見することで、血管障害が関わる多くの成人病を"予防する"ことが期待される。また、このことはMTHFR遺伝子異常検索自体が将来、成人における重要な遺伝子診断項目となる可能性を秘めている。MTHFR遺伝子異常者には、あらかじめビタミンB_6、B_<12>、葉酸の摂取により血管障害を予防できることから、本遺伝子診断は社会的意義も極めて深い。 私共は、14歳〜99歳の945人の健常者を対象にMTHFR変異遺伝子の検索を行い、表1の如く55歳以下でホモ接合子(+/+)の人数は19%生存しているが、55歳〜80歳になると14%の生存、80歳以上となると7%しか生存していないことを見出した。この年齢群で高血圧を有した場合には、ホモ接合子群で80歳以下で40%生存しているのに、80歳以上では、0%生存している。即ち、本遺伝的研究助成により精力的に研究をすすめている。
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