研究課題/領域番号 |
11877108
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
納 光弘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041435)
|
研究分担者 |
宇宿 功市郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30281223)
中川 正法 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50198040)
有村 公良 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20159510)
|
キーワード | HAM / HTLV-Iプロウイルス量 / HTLV-Iキャリア / 逆転写酵素阻害剤 |
研究概要 |
我々は蛍光強度解析システムにて定量を行う方法を導入、HTLV-Iプロウイルス定量用に改良し、増幅効率の良いPCR用プライマー部位を設定、簡便で再現性の高いPCR定量法の開発に成功している。この定量法を用いHAM患者ではHTLV-Iプロウイルス量が著しく増大していること、即ちHAM患者ではHTLV-Iキャリアに比しウイルス量が平均7倍高いことを証明したわけであるが、このことは治療法開発においても極めて有用な判定方法を得たことを意味している。 本研究では、昨年度までにHIVで有効性、安全性の確立されている逆転写酵素阻害剤を使用し、十分なインフォームドコンセントの上治療法の開発研究を行った。HAM患者9例(男性2例、女性7例)に3TC単剤または3TC/AZT両剤を投与し、HAM症状(運動障害度、10m歩行時間)の推移、HTLV-Iプロウイルス量の変化、副作用発現について観察した。HTLV-Iプロウイルス量は前記のごとくABI Prism7700^<TM>にて定量的PCR法により計測した。5例は治験終了(うち1例は3TC単独投与)、4例は副作用のため投与中止した。運動障害度は大きな変化はなかったが、9例中6例においては10m歩行に要する時間の短縮と歩数の減少が認められ、3TC単独または3TC/AZT併用療法が効果を示した症例は67%(6/9)であった。有効群と無効群で臨床背景、治療前のプロウイルス量に特に有意な差はみられなかった。治療後のウイルス量は臨床症状の改善が見られた症例で低下する例があったが、一定の傾向は見られなかった。 本年度は、3TC/AZTとプラセーボを用いた二重盲検試験を、インフォームドコンセントの得られたHAM患者において開始するための準備を行い、条件の整った患者において治験を開始した。半年間の二重盲検期間の後に、半年間の実薬を用いるプログラムであり、現在経過観察中である。
|