I.超音波照射下における微小カプセルの心筋微小循環内での動態の把握のための実験整備を行った。 本研究では末梢静脈から投与され心筋微小循環内に到達した超音波反応性微小カプセルが、超音波照射下に微小循環(毛細血管)内でどのような動態を有するかを正確に把握することが重要である。そこで、まず小動物の皮膚などを用いて、微小カプセルに類似した構造を有する超音波診断用の微小気泡の微小循環内での動態の把握を行うための実験の整備を行った。超音波照射によってある種の微小気泡が崩壊する現象はすでに知られているが、この崩壊現象によって毛細血管の障害・出血などがおこり得るかについての直接的な観察は不十分であり、これを生体用実体顕微鏡を用いて確認するための実験設備整備を行った。これに基づいて、心筋微小循環における微小カプセルの動態を観察し得る実験系を作成し、同様の検討を行うこととする。 II.超音波反応性微小カプセルのための至適基剤の開発のための情報・資料収集を行った。 微小カプセルの基剤としては、これまでに超音波造影用基剤として開発され、その生体への安全性や基剤の安定性が確認されているアルブミンなどの基剤をベースに開発する予定である。超音波診断学では、超音波照射で崩壊しにくい基剤の開発へと進歩しているが、本研究では、ある一定の超音波出力と周波数によって確実にかつ瞬間的に崩壊する特性を有するものが望ましい。また、遺伝子や血管増殖因子などをこの微小カプセルへ添加し得る基剤を作成するとともに、カプセルの崩壊と超音波出力、周波数との関係について基礎的実験を行う必要がある。これらの検討は、現有の超音波機器を用いた実験により行う。これらの開発のための情報・資料収集を行った。
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