研究課題/領域番号 |
11877131
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
横田 俊平 横浜市立大学, 医学部・小児科, 教授 (10158363)
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研究分担者 |
相原 雄幸 横浜市立大学, 医学部・小児科, 助教授 (50211686)
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キーワード | 肝臓 / 脾臓 / 消化管免疫 / Tリンパ球活性化 / 抗CD3抗体 / Kupffer細胞 / 白色脾髄 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
消化管から侵入した抗原やウイルスは門脈を経て肝臓に達し、肝類洞を流れて肝臓脈から全身循環に入る。肝類洞は消化管から吸収された抗原、ウイルスに内臓器としてはじめて接する場であるが、生体防御機構からみると異物処理にあたるKupffer細胞が集簇している部位でもある。肝免疫系から発せられた免疫情報は全身循環後に脾臓に達し、活性化した脾リンパ球は脾静脈へ動員され門脈に入って肝免疫系と相互反応を起すことになる。そこでまず脾リンパ系を活性化するとどのように免疫応答が始動するかを検討した。8〜12週令のBalb/cマウスに抗CD3抗体を静注し脾臓内の形態学的変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いた螢光免疫染色法、フローサイトメトリーにより経時的に検討した。抗CD3抗体投与前には脾臓白脾髄内の中心動脈周囲にT細胞、その辺縁周囲にB細胞が区画されて存在したが、抗体投与によりT細胞が活性化されると活性化T細胞はサイトカインを放出しながらB細胞領域に遊走を始めT/B細胞の接触を行った後、B細胞活性化が起こり、ついでT細胞は赤色脾髄へこぼれ出したり、さらにapoptosisを起こすことも観察された。また24時間以内には白色髄は抗体投与前と同様にT細胞領域とB細胞領域とが画然と区別される状態に復した。白色脾髄におけるこのような変化は、脾臓が全身免疫系の活性化の場として重要な役割を担い、さらに肝臓・脾臓が相互に拘わimmune axisの存在を示唆する所見と考えられた。来年度には、肝Kupffer細胞の活性化を図り、その活性化が脾臓リンパ系活性化へのいかに関与するかを抗原特異的な方法で検討する。
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