研究概要 |
閉塞性動脈硬化症、冠動脈狭窄症に対する血管拡張術後の内膜再増殖予防目的の血管内小線源放射線療法の有用性を、以下の方法で検討した。 1.血管内照射用線源誘導カテーテルの開発 閉塞性動脈硬化症や冠動脈狭窄症に血管内照射を行うための、適切な線源誘導カテーテルの作成としての必要条件は、遠位側の血管にある程度の血流量が保たれていることと、血管内腔の中心に線源が位置すること、そしてある程度の硬度を持った線源がスムーズに内腔を通過すること、である。我々は、前年度に4Frの螺旋型のバルーンカテーテルを試作しているが、本年度はそれを改良してオリジナルなカテーテルを開発し、以下の動物実験に用いた。実験モデルには18-20Kgのビーグル犬を用いた。全身麻酔下で、その右頚動脈血管を露出し、冠動脈にガイドカテーテルをすすめた。その後、血管内照射用カテーテルを挿入して、その末梢への流量確保について検討した。その結果、末梢の流量は十分に確保できた。今後は、模擬線源の挿入を行い、実用性についての検討を重ねる予定である。 2.線源近傍の線量分布の測定 本研究では、TLDシートを既存のイリジウム用小線源カテーテルの周囲に垂直方向および水平方向に配置してから実際のイリジウム照射線源を用いて照射実験を行った。具体的にはイリジウムの線源間隔を0.5mm,1mm,2mm,3mm,5mmとした上で、線源近傍の線量分布を実測した。また、曲率半径の異なった半弧状に線源を配置してその線量分布を測定した。線源の柔軟性についても別途に測定した。それらの結果から、線源長が3mmのイリジウム線源を用いる場合、線源間隔は1mmが最適であった。 3.照射用小線源装置の開発 本年度は前記の基礎実験に基づいて決定した、イリジウム線源による遠隔操作方式の照射用小線源装置の開発に着手した。具体的には、装置の図案を作成し、現在試作装置を作成中である。
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