研究課題/領域番号 |
11877152
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
芝本 雄太 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (20144719)
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研究分担者 |
西本 清一 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10115909)
周 玲 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50293890)
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キーワード | プロドラッグ / フルオロデオキシウリジン / 放射線還元 |
研究概要 |
我々は前年度までに、放射線照射によって活性化されて5-FUを放出するプロドラッグを開発し、その効果を検討してきた。このプロドラッグは、低酸素照射の際に生ずる水和電子を取り込むことによって、側鎖を遊離して5-FUとなるが、酸素のある状態ではこの反応が起こり難いため、腫瘍特異的に作用しうる治療法となりうると考えられた。ただし5-FUのプロドラッグでは、in vivoにおける有効性は十分でなかったため、5-FUよりも強力な抗癌剤である5-フルオロ-2'-デオキシウリジン(FdUrd)に着目し、同様の機序で活性化されるプロドラッグを数種類合成した。これらの化合物は、FdUrdの3位のNに種々の2-oxoalkylタイプの側鎖を結合させたものである。今年度は特に、2-oxopropylタイプの側鎖を持つOFU101と5員環タイプの側鎖を持つOFU106について検討した。OFU101と106は共に、低酸素下照射によって5-FUのプロドラッグとほぼ同様の効率で、FdUrdを遊離した。またこれらのプロドラッグを低酸素下で照射した後、P388細胞と接触させると著明な殺細胞効果が観察された。これは5Gy以下の少ない放射線線量のレベルにおいても認められた。ただしマウスSCCVII細胞やヒト膵癌細胞MIA PaCa-2などにおいては、FdUrdの殺細胞効果が5-FUの効果と変わらないか、若干劣ることが観察された。したがって、FdUrdのプロドラッグの優れた効果は普遍的なものではない可能性も考えられた。現在in vivoにおける効果について検討中である。
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