研究概要 |
目的:MR Lymphography(MRL)の基礎的検討やUSPIOによる臨床応用は欧米などですでに報告されている。今回我々は、陽性のMR造影剤であるGadofluorine8によるMRLの検討を行い有用と思われる所見が得られたので報告する。 材料および方法:(基礎的検討)Gd-DTPAとGadofluorine8の濃度を一定にさせたphantom(0.1,0.02,0.01,0.005,0.002μmolGd/mlの5種類)にて,信号強度の違いについて検討。撮像条件は,T1強調SE法(TR/TE=500msec/14msec,slicethickness=4mm,imaging matrix=256×256,Nex=2),1.5Tの装置を用いた.(動物実験)Gadofluorine8およびGd-DTPAを10μmol/kgを同じ家兎の左と右の足背に皮下注し、リンパ管、リンパ節の描出について検討した。撮像方法としては、3D fast SPGR法を用いた。 結果:Phantom実験において造影剤濃度0.1μmol/mlでは、Gadofluorine8は、Gd-DTPAに比べて信号強度が2.3倍強かった。濃度が小さくなるにつれて、信号強度の差がなくなってきて、0.002μmol/mlでは、ほとんど造影効果がなくなった。家兎では、Gadofluorine8を投与することで3つの連続する正常リンパ節(popliteal,inguinal,iliaclymphnodes)およびリンパ管を描出することができた。 結論:MRI用リンパ節造影剤Gadofluorine8で家兎のリンパ節およびリンパ管を十分に描出することができた。今後、正常のリンパ節と、反応性リンパ節炎および腫瘍転移リンパ節との差についても検討を行う予定である。
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