研究概要 |
本研究では、当教室で新たにクローニングしたアディポネクチンとBMS2.4細胞由来新規造血抑制分子、リミッチンの造血システムへの影響を解析した。 アディポネクチンは脂肪細胞にて特異的に産生される分泌蛋白でコレクチンファミリーに属していた。アディポネクチンは造血前駆細胞コロニー形成能に関して、CFU-GMおよびCFU-M形成を約50%抑制したが、BFU-EやCFU-Mixコロニー形成には抑制作用を認めなかった。さらに、各種細胞株への影響を検討したところ、THP1やM1など単球系の細胞株の増殖抑制が著名であり、その機序としてアポトーシスが関与していた。 一方、リミッチンはBMS2.4細胞よりcDNAライブラリーよりマウス白血病細胞株の増殖抑制を指標にexpression cloningにて単離した。Limitinは183個のアミノ酸からなる未知の糖蛋白で、interferon-α,βと約20%の相同性を有しており、preB細胞コロニーであるCFU-IL-7コロニー数を半減させるだけでなく長期骨髄培養でのBリンパ球産生を完全に抑制した。一方、CFU-GMやBFU-Eコロニー形成能はLimitinにて影響を受けなかった。以上より、Limitinは主にBリンパ球前駆細胞増殖を抑制すると考えられる。 今後、これらの新規造血抑制因子のin vivoでの作用を解析する予定である。
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