1.マウスの腎を採取し、その皮質全層を約3mm角に分割し、ホルマリンに固定した。 2.その組織片をビブラトームで薄切し、厚さ約100μmの切片を作成し、UEA-1を反応させた。 3.それをレーザー共焦点顕微鏡で観察した結果、UEA-1はマウスの腎糸球体内皮細胞と非常に良く反応することが分かった。ただし、ヒト腎糸球体と同様に、切片表面から約30μmくらい(マウスの小型糸球体のほぼ半径)の深さまでしか、明瞭な像を得ることができなかった。 4.そこでUEA-1を確実に糸球体全体に反応させるため、生きているマウスを用い、その大動脈から腎動脈を経由しUEA-1を直接灌流することを試みた(成功率10%)。そして腎皮質を採取した。 5.その腎皮質全層をビブラトームで薄切し、厚さ約100μmの切片を作成した。 6.その切片を蛍光顕微鏡で観察してみたところ、腎糸球体全体にUEA-1が反応していることが確認できた。 7.その切片をレーザー共焦点顕微鏡で観察した。灌流しない方法よりも明らかに深くまで(約50μm)明瞭な血管断面像を得ることができたが、残念ながら糸球体の全体像の入手には至らなかった(約70%)。なお、2-photon typeのレーザー共焦点顕微鏡での観察でも、ほぼ同じくらいの深さまでの像であった。 8.現在、マウスでの実験方法や手技の改良、および別のメーカーの一層高性能なレーザー共焦点顕微鏡の使用を検討中である。
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