1.ヒトの剖検例から腎糸球体を単離し、その内皮細胞を標識すべく種々の抗体(phalloidin、UEA-1、GSL I-B4など)の有効性を検討した。その結果糸球体の内皮細胞は、UEA-1に最も良く標識されることがわかった。 2.UEA-1を反応させたヒト腎糸球体をレーザー共焦点顕微鏡で観察し、明瞭な連続断面像を入手した。 3.それらの連続像をもとにコンピュータ・ソフトを用いて、ヒト腎糸球体毛細血管の立体構築像を作成することができた。 4.ただし、2-photon type(最新型)のレーザー共焦点顕微鏡を用いても、糸球体の表面の30μmほどの深さの範囲しか明瞭な像を得ることができなかった。 5.深部の像を入手できない原因としては、レーザー共焦点顕微鏡の性能そのものの(深部へレーザー光が到達できないためか、深部からのレーザー反射光を感知できないため)、あるいは直径が200μm余りというヒトの糸球体全体に抗体を浸透できないため、というふたつのことが考えられた。 6.その原因追求のため、ヒトよりも直径の小さいマウスの腎糸球体を対象とし検討した。マウスの腎糸球体内皮にも、ヒトと同様にUEA-1が最も良く反応することが分かった。 7.そのマウスの腎切片をレーザー共焦点顕微鏡で観察したが、表面から約30μmくらいの深さまでしか、明瞭な像を得ることができなかった。 8.そこでUEA-1を確実に糸球体全体に浸透させるため、生きているマウスを用い、腎動脈から直接UEA-1を灌流した後、その腎皮質を採取した。 9.その腎皮質をビブラトームで厚さ約100μmに薄切し、蛍光顕微鏡で観察してみたところ、マウスの腎糸球体全体にUEA-1が反応していることが確認できた。 10.灌流しない方法よりも明らかに深くまで(約50μm)、レーザー共焦点顕微鏡で明瞭な血管断面像を得ることができた。しかし残念ながら糸球体全体の連続断面像の入手には至らなかった(糸球体直径の約70%)。
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