研究概要 |
Wolfram症候群は「尿崩症・インスリン依存型糖尿病・視神経萎縮・難聴」を4大症状(DIDMOAD)とする常染色体劣性の遺伝性疾患である。ホモ接合では若年型IDOM、ヘテロ接合では成人型NIDDMになるという仮説を立てた。Wolfram症候群では躁鬱病などの気分障害の合併も26倍多く、ヘテロ接合では気分障害の約1/4が関与すると推定されている。そこで本研究では、2型糖尿病者に加えて気分障害患者のWolfram遺伝子をスクリーニングして変異の同定を試みた。 (1)Wolfram遺伝子に関する患者遺伝子のスクリーニング 2型糖尿病者と気分障害患者のWolfram遺伝子の8個のエクソンをPCR法で増幅した後直接シーケンスして変異の同定を試みた。その結果、現在までに7種類のミスセンス変異(R456H,V503G,G576S,H611R,1720V,E737K,R756H)とアミノ酸の変化しない6種類のpolymorphismを同定した。これらの遺伝子変異と疾患発症との関連解析では有意の成績は認められていない。しかし、結論するにはまだ少ないので、数を増やす必要があると考える。 (2)マウスとヒトWolfram遺伝子産物に対する抗体の作成 本年度はマウスとヒト蛋白に対するペプチド抗体の作成に着手したが、現時点ではマウス抗体の作成にのみ成功している。ヒト抗体に関して継続中である。これらの抗体は、次年度以降の発現実験や免役組織学的解析に供する予定である。
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