抗癌剤を腫瘍内に選択的に誘導する薬剤ターゲッティング法については、古くから様々な試みがなされている。浸潤性は癌細胞に特異的な現象である。近年、分子生物学的研究技術の進歩により、癌の浸潤過程に関与する様々な物質が分子レベルで明らかになってきた。そこで、これらの癌浸潤関連物質に対するモノクローナル抗体を利用した腫瘍へのターゲッティングが可能かどうかという点について基礎的検討を加えることを目的として、二種類のマトリックスメタロプロテイナーゼMMP-9と血管新生因子VEGFに対する抗体と抗腫瘍物質Ricinを結合させた物質を作成した。この物質を担癌マウスに投与し毒性およびそのターゲッティング効率を比較検討中である。現在までに、Ricin単独では全く作用しないDoscにて、若干の抗腫瘍効果を認めている。
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