研究概要 |
蛍光蛋白質(Enhanced Green FIuorescein Protein)を,赤血球以外の有核細胞内サイトゾールに発現している,所謂EGFP-transgenic mouseの移植免疫寛容とミクロキメリズム解析に応用するための基礎実験を行った。in vivoに於いて,EGFP蛋白の抗原性並びに免疫原性を検討する為に,正常B6マウスにEGFP-transgenic mouseからの皮膚移植を行い,その生着率について検討を行った。更に骨髄細胞培養によって得られる特殊な抗原提示細胞・樹状細胞(Dendritic Cells:DC)の蛍光蛋白発現率の解析をin vitroに於いてFlow Cytometry法によって行った。緑色蛍光蛋白質を発現しているトランスジェニックマウスからの皮膚を移植された,正常B6マウスの大半(103例中78例)は同皮膚片を生着させたが,一部(25例:2割強)のマウスでは,移植後1ヶ月から2ヶ月を経過した段階で,同移植皮膚片を拒絶するものがあった。また,EGFP-transgenic mouseの骨髄細胞培養によって得られる樹状細胞は,細胞内EGFPの発現が,自家蛍光レベルまで減少している事が観察された。本結果は,レポーター遺伝子としてのEGFPがin vivoに於いて,免疫原性を有している事を示している。従って、ミクロキメリズム解析の為の長期間にわたる緑色蛍光細胞を観察・追跡する為には,更に検討を要する。
|