研究概要 |
1)われわれが樹立した高度腹膜転移株(MKN45-P)と親株の転移関連遺伝子の発現差をRT-PCRとWestern blot法で検討した。その結果VLA-2,3,VEGF,VEGF-C,MMP-7,MMP-11,urokinaseとその受容体の発現が亢進していることが判明した。 2)発現が亢進している遺伝子の共通の転写因子であるc-etsを制御することによる腹膜播種進展に及ぼす影響を検討した。c-ets mRNAに対するアンチセンスDNAで1時間処理後ヌードマウス腹腔内に移植後し、腹膜播種巣の変化および生存率を調べた。In vitroではアンチセンスDNA処理によりurokinase,MMP-1の発現が抑制された。またアンチセンスDNA処理後の細胞を移植されたマウスは生存率が有意に改善された。 3)このアンチセンスDNAはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の管腔形成を阻害しHUVECのurokinase発現を抑制した。このことからアンチセンスDNAは脈管形成を阻害する効果もあるものと推察された。 4)高度腹膜転移株(MKN45-P)はp53がwild typeであるため制ガン剤の感受性が比較的高い。そこでmutant p53遺伝子をtransfectionしたmutantをつくり、制ガン剤感受性の差を検討している。
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