研究概要 |
restriction landmark genetic scanning(RLGS)とsouthern blot analysis法で肝細胞癌に特異的な変化を見い出すと共にその臨床学的意義について明らかにすることを目的とした。[方法]肝細胞癌患者から得られた癌部と非癌部組織についてRLGS法を施行した.DNAをクローニングするのにはNot1トラッパーで抽出後,RLGS法を行い施行した.Centromeric Not1 clusterの分析は,制限酵素としてNot1およびPst1を,プローブとしてRLGSからクローニングしたDNA断片を用いた.肝細胞癌術後の経過観察は画像診断および血清マーカーなどにより行った.[結果]RLGS法で約1000個のDNA断片を検討した結果,肝細胞癌症例の約60%に増強するスポットが4個検出された.増強したスポット3個をクローニングしたところDNA繰り返し配列(centromeric Not1 cluster,human tandem repeat sequence)であり,遺伝子増幅は認められなかった.メチル化感受性制限酵素とクローニングしたDNA断片を用いたsouthern blot analysis法でスポット変化は脱メチル化によりもたらされることが判明した.また,RLGS法とsouthern blot analysis法でcentromeric Not1 cluster脱メチル化を比較することにより,southern blot analysis法だけで脱メチル化を定量化できることが証明された.southern blot analysis法による脱メチル化を高脱メチル化群と低脱メチル化群の2群に分けて比較検討すると,両群間には従来の予後因子には有意の差を認めなかったが高脱メチル化群で術後健存率が有意に低値であった.[結語]肝細胞癌では,geneticよりepigenetic change が多くDNA繰り返し配列の脱メチル化が高頻度に認められると共にそれらの症例では術後健存率が低下し,予後因子として有用であることが示された.
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