研究課題/領域番号 |
11877242
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
白井 睦訓 山口大学, 医学部, 助教授 (20196596)
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研究分担者 |
中澤 晶子 山口大学, 医学部, 教授 (40053053)
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キーワード | 肺炎クラミジア / 動脈硬化 / NFκB / シグナル伝達 / 感染 / 宿主応答 / 転写因子 / C.pneumoniae |
研究概要 |
Chlamydia pneumoniae(CP)は、近年動脈硬化症や喘息などとの関連が注目されている。動脈硬化進展には、炎症性サイトカインや接着分子などの発現調節をしている転写因子NF-κBが重要な役割を持つと考えられている。CP感染による宿主細胞のNF-κBの活性誘導と、NF-κBが発現調節しているcyclooxygenase-2(COX-2)やNOについて検討した。また抗炎症剤の一つであるaspirinのNF-κB活性やCP増殖に対する影響を検討した。方法としては、培養HEp-2細胞にNF-κBのenhancer elementとluciferaseの融合遺伝子を持つplasmidを導入後CPを感染させ、luciferase活性を指標にNF-κBの活性を経時的に測定した。さらに経時的にNO産生やcyclooxygenase-2 protein産生も測定した。またCP感染後aspirinを培養液に加え、NF-κBの活性や本菌の増殖に対する影響を調べた。得られた結果としては、1)CP感染8、24時間後において、luciferaseの値は感染前に比べ有意な上昇を示し、感染によるNF-κBの活性化が認められた。2)CP感染によりCOX-2 proteinの誘導とその産物の一つであるprostaglandin E2の産生が有意に認められた。3)感染によるNF-κBの活性化とPGE2産生はaspirinにより抑制された。4)感染によるNOの産生は認めなかった。5)aspirin投与により48時間後までは最大約40%の肺炎クラミジアの増殖抑制を認め、tryptophan添加により改善した。CP感染によりNF-κB活性が上昇したことから、炎症性サイトカインや接着分子が発現して動脈硬化が進展すると考えられた。またaspirinは抗炎症作用だけではなく抗クラミジア作用を有することが示唆された。
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