研究課題/領域番号 |
11877249
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小林 千益 信州大学, 医学部, 講師 (40205464)
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研究分担者 |
斎藤 直人 信州大学, 医学部, 講師 (80283258)
高岡 邦夫 信州大学, 医学部, 教授 (30112048)
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キーワード | 大腿骨頭壊死症 / ステロイド / 骨代謝 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
従来、特発性大腿骨頭壊死症の発生機序に関する研究は主として骨頭の循環障害に関連したものであったが、いまだ病態が不明で、有効な予防法と治療法が見出されていない。一方、ステロイドが骨(芽)細胞の活性を抑制したりアポトーシスを誘導することが知られている。我々は、ステロイドによる骨代謝異常を基盤に本症が発生するのではないかとの仮説を立て、本症の発生機序を骨代謝学的に検討する研究を計画した。骨壊死を特に大腿骨頭に生じることは、ヒトが2本足で起立歩行することと関連があると考え、実験には2本足で体重を支持するウズラを用いた。ステロイド投与後に生じる骨壊死と骨代謝異常の経時的変化を調べ、それらの関連性を検討した。孵化後8週の雄ウズラを用いた。溶媒のみ投与の対照群、体重の30%の荷重を負荷した荷重負荷群、メチルプレドニゾロン30mg/kgを週1回間筋注するステロイド投与群、30%体重の荷重を負荷しかつステロイドを同様に投与した荷重負荷ステロイド投与群の4群を設定した。実験開始後4週、8週、12週で、テトラサイクリン2重標識後に屠殺した。荷重負荷によって大腿骨の骨頭、頚部、転子部、骨幹部の骨量が増大した。ステロイド投与によって経時的に大腿骨骨量減少が進行した。骨壊死は対照群と荷重負荷群では見られなかったが、ステロイド群と荷重負荷ステロイド投与群で見られ、その頻度は荷重負荷ステロイド投与群で有意に高かった。今回の結果より、ステロイドによる骨代謝異常を基盤に、荷重負荷と関連して、大腿骨骨壊死が生じる機序が示唆された。今後、ステロイドによる骨(芽)細胞抑制に拮抗する薬剤(副甲状腺ホルモン剤など)をステロイドとともに投与して、骨壊死発生が予防できるか調べる予定である.
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