1.炎症による疼痛モデルとして用いられるフォルマリンテストを従来の疼痛行動観察に基づく定量法とSupermex運動量解析器を用いた自動運動量測定に基づく定量法を比較検討した。 2.ラット後肢にフォルマリンを注入すると、後肢の屈曲運動や後肢をなめる行動が見られ、屈曲運動の回数および後肢をなめる時間は、フォルマリン注入直後から約10分とその後の約50分の間に2相性に増加し、1相と2相の間にほとんど疼痛行動が見られない休止期が見られた。 3.モルヒネのくも膜下投与により、1相および2相の疼痛行動も減少したが、中枢感作を抑制すると考えられているNMDA拮抗薬(ケタミン)のくも膜投与では、2相のみが選択的に抑制された. 4.自動運動量測定でも、フォルマリン注入後、上記の疼痛行動の2相性増加に一致して行動量が増加した。 5.フォルマリン注入後の2相性の行動量増加に対しても、モルヒネは1相と2相のいずれも抑制し、ケタミンは2相のみを抑制した。 6.以上よりフォルマリン注入後の行動量の増加は疼痛行動を反映すると考えられた。自動行動量測定は、行動観察による、観察者による相違やバイアスを除外することが可能となり、より客観的なデーターが得られると考えられる。また複数のラットに対するフォルマリンテストを同時に行うことを可能とするため、実験の効率をあげることができる。 7.マウスはラットに比べ動きが活発で、フォルマリンテストは行いにくいが、今後、自動運動量測定によるマウスでのフォルマリンテストの定量化が可能か検討していく。
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