研究概要 |
妊娠糖尿病は一般の糖尿病と臨床像が異なることから特徴的な遺伝素因が存在すると想像される。しかし、疾患は妊娠女性にしか出現しないので、遺伝素因を同定するためには通常の遺伝学的手法は有効ではない。本研究では妊娠糖尿病の関連遺伝子を大規模集積してデータベース化して研究基盤を構築することを目指す。 (1)妊娠によって発現レベルが変化する膵ラ氏島遺伝子群の同定 約100匹のラットから膵臓を摘出し、コラーゲナーゼ法でランゲルハンス氏(ラ氏)島を分離してmRNAを抽出した。mRNAを鋳型としてcDNAを合成した後ランダムZAPIIベクターを用いてcDNAライブラリーを構築した。ライブラリー全体をin vivo excision法によりプラスミド化した後、プレートから無作為に5,000個以上のクローンを選別してDNAを抽出した。これらのDNA断片の両端から一方向性に塩基配列を決定してEST(Expressed sequence tag)化した。得られる塩基配列についてデータベースサーチを行なって重複しないEST群を集積し、このESTパネルを次年度のcDNAマイクロアレイの作成を供する。 (2)対応するヒトESTパネルの作成 ヒト膵ラ氏島cDNAライブラリーから1万個のESTを獲得している。上記と同様にデータベースサーチを行ない、重複しないESTパネルを作成した。このパネルは、妊娠状態で発現レベルが変化するラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の獲得に用いる。
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