研究概要 |
[目的]着床現象を解明したり、臨床応用可能な新しい3次元子宮内膜培養法の基礎実験、および再構築に必要な細胞外マトリックスの改変に重要な働きをすると考えられているmatrix metalloproteinaseの子宮内膜、胎盤における動態の検討を行う。 [研究成果]細胞外マトリックスの改変に関連するMT1-MMPは増殖期から分泌期にかけて子宮内膜上皮細胞のみに発現し、妊娠と共に間質細胞にも発現が認められるようになることをmRNAおよび蛋白レベルで検討し、他のMMPとは異なる特殊な発現調節が行われていることが明らかとなった。この結果は、現在、投稿中である。 細胞の再構築法に関しては、アスコルビン酸の添加により子宮内膜間質細胞は重層化するが、0.1ng/mlが至適濃度である皮膚線維芽細胞に比べその効果は薄かった。そこでアスコルビン酸の濃度を0.1,1,10,100,1000ng/mlとし、その濃度依存性を検討したところ10ng/mlの濃度で最もその効果が高いことが明らかとなった。しかし、重層化の程度はひと皮膚線維芽細胞と比較して強くなく、ディッシュから剥離させることは困難であった。また、長期培養に必要な毛細血管の代替物としてのガーゼを組み込んだ培養系に関しては、ガーゼの周りに付着した細胞群の細胞間結合も予測していたより弱く、細胞層全体を剥離させることは困難であった。今後はエストロゲン、プロゲステロン等、性ホルモンやサイトカインとアスコルビン酸の細胞外基質産生に関する相乗効果を期待した実験を行う予定である。
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