研究課題/領域番号 |
11877294
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
川内 秀之 島根医科大学, 医学部, 教授 (50161279)
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研究分担者 |
小笠原 圭子 島根医科大学, 医学部, 助手 (40304266)
片岡 真吾 島根医科大学, 医学部, 助手 (60152667)
加藤 太二 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20185846)
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キーワード | 口蓋扁桃リンパ球 / M蛋白 / NOD-scidマウス / 粘膜免疫 / IgA / Tリンパ球 |
研究概要 |
扁桃摘出手術により得られたヒト口蓋扁桃リンパ球を分離し、flow cytometryによるリンパ球サブセットの解析を個々の症例で行い、幼少児期における加齢によるリンパ球サブセットの違いを検討した。その結果、年齢が上がっていくにつれ、記憶T細胞サブセットが成熟していく傾向にあった。さらに、β-streptococcusの細胞壁から分離抽出したM蛋白を用いて、M蛋白特異的な末梢血ならびに扁桃リンパ球の in vitroでの増殖反応につき検討し、生後徐々にヘルパーT細胞レベルでの反応が増強されていくことが示された。ヒト口蓋扁桃リンパ球をNOD-scidマウスの移入し、その定着につき検討した結果、約半数のマウスにおいて、観察しえた3ヶ月まで脾臓を中心としたリンパ臓器に生着していることが示された。さらに、その生着したヒトリンパ球の分画をflow cytometryにより解析した結果、helper/inducer T細胞を中心としてsuppressor/cytotoxic T細胞も生着していたが、形質細胞以外のリンパ球の表面マーカーであるCD19もしくはCD20陽性細胞(B前駆細胞)の生着はわずかであった。また、ヒト口蓋扁桃リンパ球が生着したNOD-scidマウスに、経鼻的にM蛋白と粘膜アジュバントであるコレラトキシンを投与し、鼻粘膜の局所感作を行った結果、鼻洗浄液中にM蛋白特異的なIgA抗体価さらにはIgG抗体価の上昇が認められ、さらに免疫染色により、鼻粘膜にヒト抗体産生細胞やヘルパーT細胞が動員されていることが示された。以上のことより、ヒト口蓋扁桃リンパ球の機能解析をin vitroにおいて行う実験系が確率され、さらにin vitro の結果と合わせ、我々の研究により、ヒト口蓋扁桃の免疫学的発達過程を解析できることが証明された。
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