レチノイン酸を投与し実験的に口蓋裂を発症させる実験系はすでに確立されているが、その原因は詳細には解明されておらず、ホメオボックス遺伝子との関連も指摘されていない。 我々はすでにヒト悪性黒色腫細胞に all-trans型レチノイン酸を投与し、10μM以上の濃度でHOXD3の発現抑制と細胞の運動能低下を確認している。レチノイン酸投与における口蓋裂の発症とHOXD3発現低下の関連性につき検討することとした。 まず、マウスのHOXD3シークエンスをもとに、PCR用プライマーを作製した。マウスメラノーマB16を培してtotal RNAを抽出してcDNAを作製し、HOXD3プライマーを用いてPCRを行ったところ、HOXD3に特異的な増幅が認められた。このPCR-Productをプローブとして用い、今後、組織切片上でin situハイブリダイゼイションを行い、正常発生マウスでの口蓋形成期の時間的・空間的なHOXD3の発現を調べる予定である。さらに、in vivoにおけるレチノイン酸投与においてHOXD3の発現が抑制されるかどうかを確認し、口蓋裂発症の原因を探求したい。
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