実験モデルとして、ウイスター系ラットを用いた。腹腔内にペントバルビタールを注射し麻酔を行った。その後、清潔野において、頭蓋骨の2×1cm大の骨露出を作成した。骨露出部前側には、臀部より採皮した真皮成分を、後側には人工真皮をそれぞれ移植した。湿潤環境を保つため、移植した真皮上にはシリコンシートを縫着し、タイ・オーバーによる固定を行った。真皮移植と表皮移植の時期の違いで次のように、5グループに分けた。(1)真皮移植と同時に表皮移植を行うグループ(2)真皮移植後24時間後に表皮移植を行うグループ(3)真皮移植後3日後に表皮移植を行うグループ(4)真皮移植後7日後に表皮移植を行うグループ(5)真皮移植後14日後に表皮移植を行うグループ 現在、それぞれのグループで真皮および表皮移植を行い、表皮移植後1週間経過した時点でラットを安楽死させ、直下の頭蓋骨とともに移植片を摘出した。摘出した検体を20%ホルマリンで固定し、組織学的検査を行っている。これまでに得られた知見は、肉眼的評価ではあるが、骨露出部に移植した真皮が生着したラットもあった。これが骨表面から起きた新生血管と移植片の微小血管の再構築によるものであるのか、周囲組織からのbridge phenomenonであるのか、組織学的評価を行う予定である。 当初の実験計画から変更した事柄としては、移植部位を脛骨前面から頭蓋骨へ変更した点である。脛骨前面では充分な骨露出表面は得られず、最も平坦な頭蓋骨を選択した。
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