研究目的;本研究の目的は、ラット臼歯を用いて、球間象牙質の発生および組織構造を免疫・遺伝子組織化学的に検索して、球間象牙質の機能的役割を明らかにすることにある。実験動物および方法;生後1、2、3、4、6、10週齢のウィスター系雄性ラットを用いた。ペントバルビタール麻酔下で、ラットを4%パラフォルムアルデヒドにより環流固定、上顎を摘出した。その後、同固定液により浸潤固定、EDTAによる低温脱灰の後、パラフィンに包埋し、連続切片を作製して一部をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を施し、その隣接切片について免疫組織化学的染色を施し観察した。 結果;生後1週ラットにおける球間象牙質はエナメルフリー域に近接して形成され、生後2週ラットでは歯頚近接部をのぞく歯冠象牙質で形成され、生後3週ラットでは歯頚近接部を含む歯冠象牙質全域で形成されていた。免疫組織化学的に球間象牙質はオステオカルシンに弱陽性を示し、一方球間区以外の象牙質は陰性反応を示した。骨シアロ蛋白およびオステオポンチンに対する免疫組織化学では、球間象牙質を含むすべての象牙質で陰性であった。
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