HGP15タンパク質による各種培養細胞への作用を検討した。使用した細胞は(1)ウシ大動脈内皮細胞(BAE)、(2)ヒト大網由来血管内皮細胞(HOME)、(3)ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、(4)ヒト上喉頭癌由来上皮性癌細胞(KB)である。行った実験は(1)BAE細胞、HOME細胞、HUVEC細胞、およびKB細胞の増殖に与えるHGP15タンパク質の影響、(2)BAE細胞およびHUVEC細胞の遊走性への影響、(3)BAE細胞およびHOME細胞の管腔形成への影響、であった。今回使用した細胞の内、BAE細胞においてのみ、著明な細胞障害性を示した。このため、遊走、管腔形成実験が難しく、IC50より低い濃度でこれらの実験を行ったが、有意な阻害効果はみられなかった。HOME細胞、HUVEC細胞およびHUVEC細胞に対してはどれも阻害作用を示さなかった。現在のところ、Paramaesvaranらが報告した、HUVEC細胞の管腔形成へのHGP15の作用を再現できていない。
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