私たちの研究グループは現在までに本菌のプロテアーゼ遺伝子を中心とした多種類の変異株を作製している。各種の変異株について血小板凝集活性を検討したところ、以下の結果が得られた。(1)HimA線毛は本活性とは無関係である。(2)アルギニン特異的プロテアーゼ遺伝子(rgpA.rgpB)、リジン特異的プロテアーゼ遺伝子(kgp)、血球凝集素遺伝子(hagA)についてのいくつかの変異株ではまったく血小板凝集活性を示さないものがあった。一方、野生株のもつ血小板凝集活性は本菌の産生分泌する主要なプロテアーゼであるアルギニン特異的プロテアーゼやリジン特異的プロテアーゼに対する阻害剤(leupeptinやTLCK)では阻害を受けないことや、トロンビンの特異的阻害剤であるhirudinでも抑制されないことがわかった。上述の遺伝子群はプロテアーゼドメイン以外のドメインタンパクとして付着因子タンパク(アドへジン)をコードしていることから、現在までの結果を総合するとアドへジンドメインタンパクが血小板凝集活性には重要な働きをしていることが示唆された。
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