研究概要 |
近年,歯の欠損に対してインプラントによる補綴修復が可能となってきた。種々のインプラント治療の中でも,最近最も多く臨床応用されているのは骨結合型インプラントであり,現在臨床において長期的に高い治療効果を発揮している。しかし,骨結合型インプラントは天然歯のもつ歯根膜という感覚受容器を全く介在しない。そこで,インプラント患者に,天然歯の歯根膜に近似した感覚受容器を与えるため人工歯根膜の開発について検討した。 現在臨床で使用されている歯根型の骨結合型インプラントシステムのうち,歯根膜の動揺特性を模倣した緩圧機構を有するIMZインプラントを用いて,内部エレメント装着後の経過日数による内部エレメントの緩圧能力の低下率を検証した。 IMZインプラントの内部エレメントとして,口腔内で6カ月間使用されたポリオキシメチレン製のIntramobile Element(以下,IMEと略す),Intramobile Conector(以下,TMCと略す)をシリコン樹脂に埋入されたIMZインプラントにそれぞれ組み込んだ。動揺度測定に際し,測定方向,位置などを規定するために測定用上部構造(金合金タイプIII)を製作し,IMZインプラント専用のトルクレンチ(フリアテック社製,ドイツ)にて,145Nmmのトルク値で装着した。 動揺度は,簡易型歯の動揺度診断システムTooth Mobility Tester(T・Mテスタ)を用い,MI値から検討した。 その結果,内部エレメントの変形量は,IME,IMCともに性差,年齢差による影響を受けるだけでなくインプラント植立部位による影響を大きく受けることがわかった。
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