歯周病原性グラム陰性菌による呼吸器感染症起因性に関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11877368
• 研究機関: 東京歯科大学
• 研究代表者: 奥田 克爾 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40085741)
• 研究分担者: 三浦 直 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10266570) ; 石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00212910) ; 加藤 哲男 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00159253) ; 君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (90287178)
• キーワード: 呼吸器感染症 / 老人性肺炎 / 誤嚥性 / 口腔細菌 / 嫌気性菌 / グラム隠棲菌 / 炎症性サイトカイン / 動物実験モデル

研究概要

私共は、現在まで要介護高齢者の口腔内には肺炎起因微生物が高頻度に検出されることを報告してきた。特にADLが低下し、口腔清掃がままならない高齢者では、肺炎レンサ球菌などが高率に感染している事実を示してきた。高齢者、特に要介護者などに口腔衛生指導あるいは介護を実施すると肺炎起因菌の検出率が低下し、呼吸器感染症が減ることについても特別養護ホームでの調査によって明らかにしてきた。嫌気性の歯周病原性細菌の単独あるいは混合感染による呼吸器感染症起因性の有無をマウス気管支への細菌の接種法によって調べた。歯周病原性菌 Porphyromonas gingivalis, Actinobacillus actinomycetemcomitans, Treponema denticolaおよびPropionibacterium acunesを感染させた。Streptococcus pneumoniaeは、10_7オーダーの接種で2〜4日で全てのマウスを死滅させた。しかし、歯周病原菌を10_8オーダーの生菌を接種すると、24時間、48時間、72時間と肺洗浄液中の生菌数が経時的に減少し、グラム隠棲菌は96時間には観察されなくなった。肺胞洗浄液中のIL-1β、TNFα、IL-6およびヒトIL-8物質kcは歯周病原菌接種によって強く産生が誘導されてくることが分かった。これらが、致死的肺炎を起こさせないまでも、呼吸器感染症による発熱などのトラブルの原因になることが考えられる。いわゆる、老化マウス、compromised mouseを本実験に組み込む必要がある。

研究成果

• [文献書誌] Chattin, B. C., Okuda, K. et al: "Specific Microbial Colonizations in Periodontal Sites of ・・・"Microbiology and Immunology. 43.9. 847-852 (1999)
• [文献書誌] Honma, K., Okuda. K, et al: "Salivary immunoglobulin A production against asynthetic・・・"Oral Microbiology and Immunology. 14. 288-292 (1999)
• [文献書誌] Ishihara, K., Okuda, K.: "Molecular Analysis for Pathogenicity of Oral Treponema"Microbiology and Immunology. 43・6. 495-503 (1999)
• [文献書誌] Ishihara, K., Okuda, K.: "Molecular Pathogeneis of the Cell Surface Proteins・・・"FEMS Microbiology Letters. 181. 199-204 (1999)
• [文献書誌] Kato, T., Okuda, K. et al: "Humaoral Immune Response to Serotype b Actinobacillus・・・"FEMS Immunology. (2000)
• [文献書誌] Ishihara, K., Okuda, K. et al: "Relationship between the onset of PPP,periodontitis・・・"Oral Microbiology and Immunology. 15. (2000)
• [文献書誌] 奥田 克爾: "デンタルプラーク細菌 -命さえ狙うミクロの世界-"医歯薬出版. 234 (1999)
• [文献書誌] 奥田 克爾: "口腔感染症とアレルギー"一世印刷. 450 (2000)