研究課題/領域番号 |
11877372
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
富岡 清 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50114575)
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研究分担者 |
長岡 康夫 京都大学, 薬学研究科, 助手 (90243039)
飯田 彰 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40202816)
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キーワード | アルケニルホスホナート / 炭素求核剤 / 窒素求核剤 / 共役付加反応 / 脱水素反応 / 環化反応 / 共役付加環化反応 / ダブルマイケル反応 |
研究概要 |
α,β-不飽和カルボニル化合物に対する有機金属化合物及びヘテロ原子求核剤の共役付加反応は有機化合物の骨格形成の根幹をなす炭素-炭素結合や炭素-ヘテロ原子結合の形成法として極めて重要であり汎用されてきた。一方、アルケニルホスホナートは不飽和カルボニル化合物と同様に共役付加反応における捕捉剤の一つであるが、その反応特性の理解、その特性を生かした合成化学的利用が未だ不充分である。更に、ホスホナートがエステル基のイソスターである観点からもその化学が重要である。本研究の目的はアルケニルホスホナートに対する炭素求核剤及び窒素求核剤の反応特性の理解の深化とその特性を利用した新規合成反応の開発である。 LDAはアルケニルホスホナートに対して、求核剤としては作用せずに、塩基として作用し、α位の脱プロトン化が速度論的に優先して進行することを明らかにした。このα-リチオアルケニルホスホナートは炭素求電子剤であるアルデヒドやケトンに求核付加しアルコール体を与える。このアルコール体はKH若しくはKH-18-crown-6処理によりHorner-Wadswors-Emmons型の脱離が進行し効率的にアレンに変換されることが明らかになった。さらに、分子内に二つの不飽和ホスホナートを有する基質にLDAを作用させると一方のホスホナートのα位がリチオ化されると同時にもう一方の不飽和ホスホナートに捕捉され、環化体を与える事を明らかにした。不斉のビスホスフィンオキシドに対してこの環化反応を適用したところ環状ビスホスフィンオキシドを与えた。この環化体は官能基変換により、ホスフィンリガンドに導いた。パラジウム触媒によるアリル化反応でこのリガンドを用いると高い選択性で生成物を与えることを明らかにした。
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