癌細胞は脱分化を起こし、無限増殖能を獲得した細胞である。この無限増殖能の獲得にさいして、通常は細胞分裂毎に短縮する染色体末端にあるテロメア配列の維持機構を構築した細胞である。このテロメア長維持機構、つまり通常は、発現していないテロメラーゼの活性が現れていることが多い。そこで本酵素活性を阻害する物質の探索は細胞の癌化阻害、ひいては固体における癌的病変を寛解する事を期待したい。 テロメラーゼ活性阻害物質の探索に当たり、まずその活性の定量的測定法の確立にあたる。本活性の測定には幾つかのクリティカルな実験を含んでいる。TRAP法は染色体末端の代わりに合成オリゴヌクレオチドを用いてテロメラーゼによるテロメア配列の合成を行い、そにの反応産物をPCR反応によって増幅し検出する方法である。 テロメラーゼ伸張反応は20度、30分間行い、その後90度3分間でテロメラーゼを失活させた。次いで94度45秒、50度45秒、72度60秒のPCR反応を27〜29リサイクル行うことで活性が測定できることが明らかとなった。増幅後は電気泳動でラダーを観察できた。 この方法を用いて幾つかの植物エキスについて検討した。植物により明らかに差は認められるが、テロメラーゼ反応を阻害する様に見られるエキスでは、同時に内部標準物質で有るITASの発現も阻害した様に感じられた。そこでそれはPCR阻害物質の存在が疑われそれを必要性があると考えられ、現在検討中である。本物質の妨害がある状態であると結果を論じる事は出来ない。
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