骨粗鬆症治療薬の評価に利用可能で、かつ作成が簡単な閉経後骨粗鬆症病態動物モデルを提供することを目的に本研究を企画した。 今年度は、Walker256/Sラット乳がんが黄体刺激ホルモン放出ホルモン(LH-RH)を異所性に産生・分泌することを確認し、本遺伝子を他の癌細胞にトランスフェクションし、効率よくLH-RHを発現・分泌するトランスフェクタントの作成を試みた。 1)Walker256/Sがn vitroにおいてもin vitroにおいてもLH-RHを高発現しており、雌性ラットに移植した場合、エストロゲン分泌が低下し、性周期が停止して閉経後骨粗鬆症様の骨量減少を来すことを確認した. 2)ラットLH-RH decapeptide遺伝子oligonucleotideを導入したpBK-CMVベクターをラット腹水肝癌AH66細胞にトランスフェクトし、LH-RH産生をin vitroおよびin vivoで確認したがLH-RHを効率よく産生するクローンは得られなかった。 3)そこで、LH-RHはGn-RHを含むプレプロタンパクとして産生・分泌されることに着目して、ラット視床下部よりプレプロタンパクの全長をクローニングしてpBK-CMVベクターへの組み込むこととした。しかし、現時点では、遺伝子クローニングには成功しているが、これのベクターへの組み込みが確認できていない。 来年度に向けては、遺伝子と発現ベクターとのライゲーション部位の検討を早急に行い、癌細胞へのトランスフェクションを行う。そして、そのトランスフェクタントの骨粗鬆症モデルとしての有用性を評価したい。
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