研究課題/領域番号 |
11877388
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
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研究分担者 |
梅田 泉 帝京大学, 薬学部, 助手 (40160791)
小佐野 博史 帝京大学, 薬学部, 講師 (40246020)
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キーワード | 鶏胚 / 卵殼外培養法 / タバコ煙 / ニコチン / 胎児挙動 / 環境因子 / 行動薬理 / 胎児毒性 |
研究概要 |
平成11年度に「全方向可視性鶏胚卵殻外培養系」を確立し、鶏胚の挙動をビデオカメラで撮影記録することに成功した。そこで、紙たばこ紫煙中の水溶性成分の鶏胚運動に及ぼす影響を調べた。 1鶏胚卵殻外培養系の作製:受精鶏卵を購入後、60時間孵卵した後に割卵し、内容物を無菌的にプラスチックカップに装着したサランラップ袋中に入れる。サランラップで被覆後さらに孵卵を続け、購入7日後(購入日を1日)に実験に使用した。 2紙たばこ紫煙水溶性成分の捕集:市販フィルター付きたばこに着火し、口中に吸い込みプラスチックバック中の水10mlと振り混ぜた。たばこ一本分の煙水溶性成分を吸収した溶液を希釈し検体とした。 3結果:孵卵中の鶏胚上に検液100μlを滴下すると運動量が低下し15分間ほど全く運動しない状態が継続し、その後しだいに運動を再開、30後には対照鶏胚の運動量に回復した。10倍希釈液100μlでも時間は短縮するが運動停止が観察された。純品のニコチンで行うと、10μgの添加で運動低下が見られるが、0.1μgでは逆に運動量の亢進が認められた。 4考察:鶏胚重量から換算すると、鶏胚運動停止を惹起する量はヒトがたばこ1本の煙を吸い込んだ量に相当した。このような人工的しかも鶏胚の結果から、喫煙中のたばこ煙が妊産婦中の胎児に及ぼす可能性があると、結論ずける考えは毛頭ないが、興味のある結果と思われる。本研究は下記の論文に発表した。Hamamichi Shusei & Nishigori Hideo : Establishment of a chick embryo shell-less culture system and its use to observe change in behavior caused by nicotine and substances fro cigarette smoke. Tocxicology Letters 119(2)95-102(2001).
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