学生の関心が集中した活動は食事と遊びであった。本研究では生命を維持してゆく最も重要な活動である食事を対象とした。 1.学生データの分析 記録は8か所の施設から、6か年にわたって103名の学生から得られた。1389件のラベルが得られた。第1の発見は、このラベルは文脈(道筋)を表示し、学生はこの文脈には構成要素があることを観察していたことである。中心は個人の機能、能力だが、保育者など人との関連、または椅子、食器などの物との関連である。 すべてのラベルを年令ごとに分類し、関連づけを行った。その結果、第2の発見は文脈に含まれる構成要素は年令に依存していたことである。 更に、ラベルの関連づけの結果、最終的には6項目を得た。「栄養摂取(すなわち生命維持)」、「個人の食べる力(意志と欲求)」、「食べる技能」、「食材の認識(食物)」、「集団化とコミュニケーション(社会性)」、「慣習(文化)」であった。これより、第3の発見として共通文脈が得られた。 2.ビデオ分析 保育園の1〜3才児12名の食事活動を録画した。第1の発見は個人とその環境に依存した一慣性のある文脈がみいだされたことである。これはビデオ分析を行うことの意義である。 第2の発見は文脈変化のマーカーをつけることが可能となったことである。マーカーは、活動の対象によって規定される。一例をあげる、「ブロッコリー」と「いも」と「ハンバーグ」があれば、それぞれ食べ方の文脈が異なる。つまり、ブロッコリー、いも、ハンバーグは明確なマーカーとなる。 第3の発見は改めて年令の違いによって文脈は大きく異なったことである。発達段階に着目する意義である。 第4の発見は、子どもの活動は保母の働きかけや食べ物の性質によって挑戦されているかのようであったことである。これは発達メカニズムを探る糸口になる。以上より、本研究継続の基礎的な視点を提出することができたと考えている。
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