代替医療は、特に海外で近年注目されてきている。しかしながら、国内での医療従事者や一般市民の代替医療の取り組み状況についてはよくわかっていない。そこで本研究では、ランダム化抽出を行った京都府医師会会員および京都府立医科大学附属病院医師に対して、代替医療への取り組み実態についてアンケート調査した。その結果、約半数の医師が代替医学と言う言葉を聞いたことがあることがわかった。また、約70%が、何らかの代替医療を試みており、そのほとんどは漢方であった。「鍼・良導絡・灸を実践しているか」という問いに対しては10.5%が、また、「鍼・良導絡・灸以外の代替医療を実践しているか」という問いに対しては、7.9%が実践していると答えている。代替医学の研修会などに参加したことがあるのは29.1%で、その多くは漢方、鍼、良導絡の講習会であった。つぎに代替医学に対する知識とその実践の有無について調査した。その結果、漢方はよく知っていて実践もしているが、漢方以外は実践しているものは非常に少ないことがわかった。漢方、鍼、良導絡、灸、温泉療法、健康食品は30%以上に知識があった。しかしながら、ホメオパシー、アーユルベーダ、タラソセラピー、信仰療法は知識のみあると回答したものでさえ、10%以下であった。また、効果の信頼度については、漢方が最も高く、ついで鍼、灸、温泉療法などがつづいた。さらに、代替医療の効果があるとした場合の理由については、患者がよくなったこと、信頼できる情報があることなどの回答が多かった。反対に、効果がないとした場合の理由としては、信頼する情報や証拠がないことが挙げられていた。 今後、一般市民についての代替医療に対する意識調査を行っていく予定である。
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