研究概要 |
本研究の目的は,超音波法を用いて筋収縮時の筋束の移動の様子を明らかにすることから,関節トルクの変化に伴う筋線維長変化を見る事である.これまでの研究結果により,等尺性トルク発揮時にも筋線維の短縮することが明らかにされてきた.本年度の研究は,各種関節各速度時の筋線維短縮速度の変化を見る事である.膝伸展動作を実施時の外側広筋の筋束長を超音波法により測定し,膝関節角度変化に伴う筋束長の変化の様子を定量することが出来た.その結果,等速性脚伸展動作(一定速度で膝関節を伸展させる)中に筋線維の短縮速度は著しく変化することが観察された.つまり,膝屈曲位から伸展するに伴い筋線維の短縮速度は急激に増加し,膝関節角度が約70度で筋線維短縮速度が最大を示し,その後は関節の伸展に伴い短縮速度は再び減少する傾向が見られた.この様な,関節角速度と筋線維の短縮速度の関係の不一致は筋腱複合体の弾性特性により引き起こされることが推察された.同時に,膝伸展動作に於ける外側広筋の場合には膝関節角度が約70度で筋線維長は約90mmを示し,その時に発揮張力も最大であった.つまり,外側広筋の自然長(生体長,至適長)は約90mmと考えられた.
|