研究概要 |
1)地理学の研究に広く用いられている計量的・理論的手法やモデルを幅広く渉猟し,GISへの組み込みが可能なものをピックアップした.また,GIS教育に有効と思われるフリーのソフトウェアであるTNTLiteの機能を解析し,地域分析における有用性について検討を加えた. 2)地域分析に適用される手法に多変量解析があるが,その一連の手続きをGISでシームレスに行える手順を検討した.回帰分析の残差図の作成,因子分析における因子得点の地図化,多次元尺度構成法MDSによる空間布置,因子分析とクラスター分析の併用による地域区分など,地図化やパターン解釈を伴う作業を自動化する方法を模索し,それをインターネットGISに組み込む手はずを整えた.このシステムは次年度に公開する予定である. 3)重みつけ点の分布パターンを分析する方法として,グローバルとローカルな空間的自己相関検定がある.グローバルな空間的自己相関検定は,Moran測度IやGeary測度cの導出とその有意性検定により,点事象の属性と位置との関係を検討する.しかし,グローバルな空間的自己相関検定は,地域全体としての地理的事象の空間的自己相関を測定するには有効であるが,地域内部における個々の局地的なクラスターを発見したりヘテロジニアスな地域パターンを探索するには不向きである.そこで,従来の研究では試みられていないk階近隣測度を導入した重みつけ点分布パターン分析法を新たに提案し,GISとの連携を探った.
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