1999年度は、まず児童用の生活体験、自然体験、自然観、感性、達成感、キャンププログラム評価尺度を独自に考案・構成した。そして、これらおよび他の尺度を用いて、現在まで1件の社会人新人研修会、3件の長期(2週間)自然体験キャンプ(文部省委嘱事業自然体験村小学生5・6年生対象合計142名)において自然体験前後に調査用紙を配布・回収することで、データ収集を行った。現在データ入力・分析中であり詳細な報告はできないが、中間報告として大分県玖珠町長期自然体験村の結果の一部について述べておく。 自然体験前後で5段階尺度得点の平均値の差が有為(5%水準)であった項目を中心に考察した。第1に、自然体験・生活体験では、「夜空いっぱいに輝(かがや)く星をゆっくり見た」「自然の川で泳いだ」「野鳥を見たり、なく声を聞いた」「自分で食事を作った」「ナイフや包丁で果実の皮をむいたり、野菜を切った」「弱いものいじめやケンカをやめさせたり、注意した」「道路や公園などに捨てられているゴミを拾ったりした」「農作業を手伝った」「童話や昔話を聞いた」といった項目で増加していることがわかった。この結果は、調査対象とした「自然体験村」がいわゆる実験(介入)操作が有効であったことを示唆するものであり、また、現代の子どもたちにとって貧弱になったといわれる原体験や生活体験そして人間関係体験を「自然体験村」が増やす働きを持っていることもわかった。 第2に、感性、達成感、自尊感情、自然観などに関わる項目、すなわち「感動する」「不思議だなー」「悲しいなー」「ぞっとするなー」「生きることは楽しい」「自分はすごい」「自分はよくやった」「自分はやさしい人間だと思う」「自分はいろいろな自然とつながっている」「自然のなかにいるとここちよい」「死ぬと自然に還ると思う」「空気にも味があると思う」「自然ってすごいなーと思う」といった項目で尺度得点が増加していた。
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