本研究では、小中学校の教師が、情報をインターネット上に発信する際に、公開先を簡単に指定し、情報発信における安全性を向上させるシステムを開発することを目的とした。 まず、現在、小中学校でインターネットへの情報発信時における指針がどのようになっているかの調査を行ない、どのようなアクセス制御機能が必要であるかの検討を行なった。その結果、多くの小中学校で住所、氏名、電話番号、生年月日、emailアドレスの5項目の個人情報について情報発信制限の対象としていることが明らかになった。また、現在広く流通しているインターネットサーバーソフトウェアの機能を調査し、どのような手法でアクセス制御が行なえるかの検討を行なった。 これらの検討結果から、上記のようなアクセス制御システム、例えば教材ならば教育機関に限定する、生徒の作品ならば地域内の学校に限定するなどの設定をブラウザから指定できるシステムの設計を行なった。また、上記の調査結果から、公開先によっては、意図しない個人情報の発信という危険性があり、これを防止するシステムの必要性があることがわかった。 本研究では、実際の教師が現場で利用することを想定したシステムを作る必要がある。そこで、ディスプレイを購入して、現在使用中のインターネットサーバーに接続し、アクセス制御システムの開発と、利用を想定した動作確認が同時に行なえるようにした。 次年度は本年度で得た成果を踏まえた上で、小中学校での安全なインターネット情報発信を実現させ得るシステムの開発、実装、評価を行なう予定である。
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