研究概要 |
今年度は主に教材等のジェンダー的要素(これを隠れたカリキュラムという)の調査を行った。 教科書に記載されている物語などのジェンダー的要素を評価するために,分析にあたって次の3つの視点を設けた。第一の視点は性別役割分業や性差別の表現がないか,第二は性別の固定観念にとらわれた表現がないか,第三は両性が対等に扱われているかである。 その結果,どの視点でもジェンダー的要素が色濃くみられた。すなわち,第一の視点では「男は仕事,女は家庭」という固定的な性別役割分業を描いた作品が多く,教科書中の挿し絵でも男性は寒色系・女性は暖色系の色使いが多くみられた。第二の視点では,子どもの遊びでは男子はいたずらをしたり,自転車で走るまわったりといった動的な遊びの話が多いのに対し,女子はおはじきや折り紙など静的な遊びが多かった。第三の視点では,作者・主人公・職業の種類などすべてにおいて男性の数の方が女性をうわまわった。また,複数の男女が描かれている場合,男性が先頭にたって行動しているように描かれているものが多くみられた。さらに,学習指導書(教科書に記載されている内容や事項等をより詳細に説明したもので,多くの教師がこれを参考に授業をすすめる)も教科書と同様に分析した結果,前述したことと同じ結果となった。これより,教科書製作の場では男女の平等な活躍がなされていないことが明らかとなった。
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