米国の初等及び中等学校における環境教育及び科学教育を中心とした児童・生徒の意思決定スキル及び能力育成に関してする文献の収集と分析を行ってきた。また、認知心理学、社会科学の分野においても意思決定スキル及び能力に関する文献の収集と分析を行ってきた。その結果、まず、学校教育において指導されるべき意思決定の定義とプロセス、さらに意思決定スキルについては、思考スキルと行動スキルの両面から詳細なファクターを明らかにした。 また、意思決定指導においては、遺伝子治療を題材として取り上げ、具体的指導方策として「意思決定ツリー」を活用した意思決定プログラムを開発した。この意思決定プログラムでは、3つのサブモジュールを設けた。まず高校生物の遺伝に関する授業を第1のサブモジュールとし、第2のサブモジュールでは、イシューズの知識と情報の収集を行い、第3のサブモジュールでは、意思決定ツリーを活用した個人の意思決定を行うように設定している。これは教科学習の内容を基盤として、社会的なイシューズの解決(総合的学習)ヘと展開したものである。また、生徒の意思決定の状況と、意思決定プロセス及び批判的思考スキルを基にした評価用紙を開発し、生徒の意思決定スキル及び能力の評価を行った。その結果、生徒の意思決定スキル及び能力が育成され、意思決定指導プログラム及び「意思決定ツリー」の有効性が明らかとなった。 さらに、我が国の小学校及び中学校における環境をテーマとした総合的学習に関して、文献を収集し分析を行ってきた。その結果及びこれまでの研究成果を基に、小・中学校における意思決定指導プログラムを開発中である。
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